1.【導入】「断られない交渉術」は、準備から始まる
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- 営業経験ゼロでもできる電話スクリプト
- 断る理由をなくす「2段階提案」の仕組み
- 現場を守るための「高額商品NG」ルール
「営業は苦手で……」
これは、多くの支援員やスタッフが抱えている正直な不安だと思います。
私自身、特養で10年、人の最期に寄り添ってきました。
相手を説得するより、守ることが求められる現場です。
だから最初は、地域のお店に電話をかける行為そのものに、強い抵抗がありました。
ですが、はっきり言えることがあります。
この取り組みは“営業”ではありません。
私たちがやろうとしているのは、
- 商品を売りつけることでも
- 福祉を理由に協力をお願いすることでもなく
「お店が抱えている現実的な困りごとを、就労支援という仕組みで解決する提案」です。
・売れずに眠っている在庫
・ネット販売をやりたいが手が回らない
・処分するには忍びない商品
こうした課題は、規模の小さなお店ほど切実です。
まずは「自分は助けを求めに行くのではない。課題解決の話をしに行く」という意識を持つ。
ここが、すべての交渉の出発点です。
2.【電話編】最初の30秒で「店主の興味」を掴むスクリプト
目的は説明ではなく会う約束
電話で完結させようとしないこと。
ゴールはアポイント獲得です。
実践スクリプト(そのまま使用可)
「お忙しいところ恐れ入ります。
私、地域で障害者の就労支援を行っております
『〇〇(事業所名)』の〇〇と申します。実は現在、地元の商店様と連携して、
『お店で眠っている不良在庫や、ネット販売が手間で残っている商品』を、
私たちが代わりに販売・作業し、
利益を分かち合ったり、作業費としてお支払いする』
という取り組みを行っています。ぜひ一度、
『在庫を整理しながら、地域の工賃につなげる仕組み』について
5分ほどご説明させていただけないでしょうか?」
ポイント
- 「障害者支援」を前面に出しすぎない
- まずは在庫整理・手間削減というメリットを提示
- 「5分」で心理的ハードルを下げる
この段階では、深い話は不要です。
3.【訪問編】相手を「Yes」に導く2段階提案
プランA:利益分配型」とし、メリット(リスク0)
「プランB:作業受託型」とし、メリット(高利益品向き)
基本姿勢
- 無理に決めにいかない
- 選択肢を提示する
- お店の事情に合わせて“形を変えられる”ことを示す
プランA:委託販売型(利益分配 6:4)
まず提示するのは、必ずこの形です。
- 売れた時だけ精算
- 仕入れ・在庫リスクなし
- まずは少量から可能
店主にとって
「損をする可能性が低い」
この安心感が、最初のYesを引き出します。
プランB:作業受託型(1件〇〇円)
店主が、
- 「利益分配は少し抵抗がある」
- 「商品は自分の店名義で売りたい」
と言った場合に提示します。
「では、販売はお店名義のままで、
写真撮影や出品作業だけを
私たちが請け負う形も可能です。」
単価の根拠は必ず説明する
- 目標工賃:月2万円
- 想定時給:200円
- 必要作業時間から逆算
👉 “感覚”ではなく“計算”で決めている
この説明が、信頼につながります。
4.【注意喚起】高額商品の取り扱いについての考え方
ここで一つ、トラブルを防ぐための重要な注意点を共有します。
これは交渉の主軸ではありませんが、
最初に方針として伝えておくべきポイントです。
基本スタンス
- 高額商品(目安:1万円以上)は、
原則として最初の取引では扱わない
理由はシンプルです。
- お店側に余計な心配をかけないため
- 事業所側の管理負担を増やさないため
- 関係を“緊張”から始めないため
店主への伝え方(例)
「一点だけ、最初に方針としてお伝えしています。
私たちはまず、
比較的低単価で、扱いやすい商品から始める
ことを大切にしています。お互いに無理のない形で進めて、
慣れてきたら相談しながら広げていく、
という考え方です。」
👉 これは制限ではなく、
“長く続けるための配慮”として受け取られます。
5.【信頼構築】「この人なら任せられる」と思わせる資料
A4チラシ(表)
- キャッチコピー
「お店の在庫が、地域の工賃と社会貢献に変わる」 - 事業所名・連絡先
- 取り組み概要(Win-Winの簡単な図)
- プランA・Bの概要
ヒアリングシート(裏)
- 在庫ジャンル・量
- 長期在庫の商品
- ネット販売の課題
- 処分に困っている商品
- 希望プラン
- 連絡先
👉 「話を聞いただけで終わらせない」ための道具です。
6.【まとめ】一歩踏み出すあなたが、現場を変える
地域連携の物販は、魔法ではありません。
ですが、
- 工賃を上げたい
- 内職以外の選択肢を作りたい
- 現場を壊さずに前へ進みたい
そう考えるサビ管にとって、
現実的で、再現性のある一歩です。
最初の電話は、正直怖い。
それでも、その一歩を踏み出せるのは、
現場を知っているあなたです。
信頼を「仕組み」で守る。商品管理シートの活用法
交渉が成立して商品を持ち帰った後、サビ管が最も恐れるのは「預かり物の紛失や管理ミス」です。
せっかく築いたお店との信頼関係を、事務的なミスで壊さないために。また、複雑な利益配分の計算を自動化し、現場の負担を減らすために。
私が現場で実際に運用している「店舗連携・商品管理シート」の構成と、利用者さんへの「進捗管理」の任せ方を別記事で詳しく解説します。
👉 [商品管理シートのダウンロードと運用マニュアルはこちら] (リンク予定)


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